ジョブコーチ

無料で導入できるジョブコーチ制度とは?助成金や概要をわかりやすく解説

ジョブコーチという仕事をご存じでしょうか?ジョブコーチは簡単に言うと、障害者の就労をサポートする仕事(人)のことで、本人だけでなく、職場や家族のサポートも無料で行います。無料というと少し怪しく感じるかもしれませんが、ジョブコーチ制度の運用は国の助成金で賄われています。

障害者雇用に役立つジョブコーチ

ジョブコーチ

障害者の雇用に関しては、令和3年3月1日から民間企業の法定雇用率が2.2%→2.3%に引き上げられました。そのため、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。障害者雇用は、受け入れる職場も未知のことが多く不安だと思います。そんな時、ジョブコーチは職場の強い味方になります。

また、障害者手帳を持ってなくても、うつ病などの精神疾患でジョブコーチを希望する方も利用することができます。なので、職場にメンタル不調の社員がいて、その対応に職場が困っている場合、本人の希望があれば無料でメンタル不調者のサポートを受けることができるのです。

ジョブコーチとは?解説

「ジョブコーチ」とは、障がい者が就労するにあたり、障がい者(家族も含む)と事業主に対して職場適応に向けたサポートをする人のことです。「職場適応援助者」とも言います。2002年に厚労省が創設した「ジョブコーチ支援制度」によって導入され、障がい者が円滑に就労できるよう職場内外の支援環境を整え、障がい者の雇用の促進および職業の安定に資することがジョブコーチ支援の一番の大きな目的です。

ジョブコーチ制度は厚生労働省が推進する支援事業のひとつで、基本的には無料でサポートを受けることができます。

ジョブコーチを受けることができる人は?

ジョブコーチのサポートを受けることができるのは、下記の障害のある求職者または在職者です。

①身体障害者
②知的障害者
③精神障害者
④発達障害者
⑤難治性疾患のある人
⑥高次脳機能障害のある人
⑦上記以外の障害を持ち、地域センターが作成する職業リハビリテーション計画において職場適応援助者による支援が必要であると認められる人

※障害者手帳の有無は問われません。
※利用には障害者と職場双方の同意が必要です。
※ジョブコーチの支援が終了する時点で対象障害者が週20時間以上勤務することを目標に設定することも条件となります。

ジョブコーチの種類

ジョブコーチは、所属する機関や支援対象などによって3種類に分けることができます。

配置型ジョブコーチ

「配置型ジョブコーチ」とは、地域障害者職業センターに所属するジョブコーチを指します。就職が難しいとされる重度の障害者を重点的にサポートします。「訪問型」や「企業在籍型」と連携し支援を行うケースもあります。効果的且つ効率的な支援が行われるよう必要な助言や援助を行います。

訪問型ジョブコーチ

「訪問型ジョブコーチ」は、就労支援を行っている社会福祉法人等に所属するジョブコーチのことで、職場に出向いて支援を行います。

企業在籍型ジョブコーチ

自社の従業員がジョブコーチの研修を受けて、自社で雇用する障害者の支援を行います。

ジョブコーチの支援の内容

ジョブコーチは以下のような支援を行います。下記はほんの一例です。

本人への支援

・職務の遂行に関する支援
(例)業務の優先順位が付けられない。ケアレスミスが多い。

・職場内のコミュニケーション
(例)上司への相談のタイミングが分からない。報告内容が分かり辛いと言われる。

・体調や生活リズムの管理
(例)平日についつい夜更かししてしまう。食事が不規則。

家族への支援

・安定した職業生活を送るための家族の関わり方
(例)家でどんなフォローをすれば良いか?朝出社しにくそうな時どうすれば良いか?

職場への支援

・障害特性に配慮した雇用管理
(例)本人は何が苦しくて何をしにくいと感じているのか?体調不良時のサインは?

・配置、職務内容の設定
(例)業務は何をどのくらい与えれば良いのか?サポートする社員を付けた方が良いのか?

・障害の理解に関する社内啓発
(例)同僚や上司に対する疾病や障害の説明。

・関わり方に関する助言
(例)しんどそうにしている時は普通に声をかけても良いのか?他の人と同様に飲みに誘ってもいいのか?

・指導方法に関する助言
(例)伝わりやすい指導方法は?厳しく指導してはいけないのか?

ジョブコーチの期間と頻度

ジョブコーチは「雇用前から」「雇用と同時に」「雇用後に」と必要なタイミングで支援を開始できます。支援期間は、標準的には2~4ヶ月ですが、1~8ヶ月の範囲で個別に必要な期間を設定します(訪問型の場合、フォローアップも含め最長1年8ヵ月。対象が精神精神障害者の場合、最長2年8ヵ月)。段階ごとに訪問回数や内容が異なります。

【支援期間】1~8ヵ月(2~4ヶ月)
①集中支援(週3~4日訪問)→職場適応上の課題を分析し、集中的に改善を図る。
②移行支援(週1~2日訪問)→支援ノウハウの伝授やキーパーソンの育成により、支援の主体を徐々に職場へと移行する。

【フォローアップ】~1年
数週間~数か月に一度職場に訪問する。

企業在籍型ジョブコーチの助成金

ジョブコーチ

厚労省は、企業在籍型ジョブコーチによる支援を行う事業主に「障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)」を支給しています。助成金を受給するには、下記の要件をどちらも満たす必要があります。

・雇用保険の適用事業主
・地域障害者職業センターが作成または承認する支援計画書に基づき、企業在籍型ジョブコーチに支援対象労働者の支援を行わせる事業主

助成金は下記①と②の合計が支給されます。

①対象労働者1人あたりの月額(下記)に、支援計画に基づく支援を行った月数を掛けた額(最大6ヵ月)

【精神障害者の場合】
・短時間労働者かつ中小企業→6万円
・短時間労働者かつ中小企業以外→5万円
・短時間労働者以外かつ中小企業→12万円
・短時間労働者以外かつ中小企業以外→9万円

【精神障害者以外の場合】
・短時間労働者かつ中小企業→4万円
・短時間労働者かつ 中小企業以外→3万円
・短時間労働者以外かつ中小企業→8万円
・短時間労働者以外かつ中小企業以外→6万円

②研修の受講料を事業主が全て負担し、且つ研修の修了後 6か月以内に初めての支援を実施した場合、その受講料の1/2の額

訪問型ジョブコーチの助成金

助成金は下記①と②の合計が支給されます。

①計画に基づいて支援を行った日数に、実施時間別の単価を乗じて算出された額
・4時間以上支援を実施した場合→実施日数×16,000円
・4時間未満支援を実施した場合→実施日数×8,000円
※支援時間には移動時間も含む。
※精神障害者の支援の場合、3時間以上16,000円、3時間未満8,000円となる。

②研修の受講料を事業主が全て負担し、且つ研修の修了後 6か月以内に初めての支援を実施した場合、その受講料の1/2の額

ジョブコーチ制度まとめ

ジョブコーチ

ジョブコーチ制度を理解頂けたでしょうか?ジョブコーチは障害者やメンタル不調者だけでなく、受け入れ側の職場にとっても有益な制度です。また、国の助成金で賄われるため、無料で導入できるのも大きなメリットです。障害者雇用の法定雇用率が引き上げられ、未達成の企業には納付金も課せられます。ジョブコーチ制度を有効に利用しましょう!

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