ストレスチェックとは、労働者の精神的な不調を未然に防ぐための検査で、職場環境改善のきっかけにもなります。実施方法は「自分のストレス状態がどのようなものなのか」についての57問の質問票に労働者が記入するかたちで進めます。
今日はそんなストレスチェックの中でも企業担当者や経営者の方に関係のある助成金についてご説明させていただきます。
ストレスチェックと助成金
労働者を常時50人以上使用する事業場に実施義務があり、労働者50人未満の事業場では、「努力義務」となっています。しかし、義務化されていない小規模の事業場でも、労働者の精神的な不調を未然に防ぐため、積極的に実施することが望まれています。
あまり知られていませんが、労働者50人未満の事業場の場合、国からの助成金が支給されます。ポイントは労働者が50人未満であることです。
ストレスチェック助成金制度の概要
50人未満の事業場(会社単位ではなく事業場単位です)が
①医師・保健師などを実施者としてストレスチェックを実施した場合
②ストレスチェック後、医師による高ストレス者面接指導を実施した場合
に事業主が費用の助成を受けることができる制度です。
※令和2年度まで継続的に実施されていますが、今年度の実施の有無は『独立行政法人労働者健康安全機構』のホームページをご確認下さい。
ストレスチェック助成金を受けるための要件
《事業場の要件》
① 労働者を雇用している法人・個人事業主であること
② 労働保険の適用事業場であること
③ 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること
ストレスチェック助成を受けるための取組みの要件
助成を受けるためには、①~③の要件を全て満たしている必要があります。
① ストレスチェックの実施者が決まっていること。
② 事業者が医師と契約を締結し、「ストレスチェックに係る医師による活動」の全部又は一部を行わせ る体制が整備されていること。
※ 「ストレスチェックに係る医師による活動」の契約には、以下の事項が記載されている必要があります。
・ ストレスチェック後の面接指導等を実施することが含まれていること。
・ストレスチェックに係る医師による活動 1 回あたりの金額が明記されていること。
・実施医師の氏名が明記されていること。
・申請事業場が契約を締結していること。又は、本社等が管轄事業場の契約をまとめ て締結している場合は、申請事業場が契約対象事業場として明記されていること。
※「ストレスチェックに係る医師による活動」とは、ストレスチェック実施後に医師面接指導を実施すること、面接指導の結果について事業主に意見陳述をすることを指します。
③ ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者 は、自社の使用者・労働者以外の者であること。
ストレスチェック助成対象と金額
①ストレスチェックの実施費用
年1回のストレスチェックを実施した場合 に、実施人数分の費用が助成されます。
→1従業員につき 500 円 (税込)
②ストレスチェックに係る医師による活動費用
ストレスチェックに係る医師による活動(医師面接指導、面接指導結果の事業主に対する意見陳述)
→1事業場あたり1回の活 動につき 21,500 円(税込) 【上限3回】
ストレスチェック助成金の実際の金額
例えば、受検人数が40人で高ストレス面談者が2人の事業場の場合
・ストレスチェック助成金
→40人×500円=2万円
・医師面談
→2人×21,500円=43,000円
合計で63,000円が助成となります。
ストレスチェックの実施費用は相場が1人500円(税抜)なので、受検人数×消費税分の会社負担が必要となります。また、医師面接指導は産業医や請け負うEAPによって差がありますが、相場は3万円(税抜)くらいでしょうか。なので、1人当たり1万円ほどの会社負担となります。
ストレスチェック助成金まとめ
ストレスチェックは、事業場の大小を問わず、労働者の精神的な不調を未然に防ぐために大切な取り組みです。労働者50人未満の事業場では努力義務となっていますが、国からの助成金を有効に利用し、積極的に実施しましょう。
取組の実施時期 、申請期間、 提出先、支給申請手続きなどについては、『独立行政法人労働者健康安全機構』のホームページをご確認下さい。