ストレスチェック制度

義務化ストレスチェック制度の高ストレス者への対応とEAP業者の役割

EAP ストレスチェック制度

ストレスチェックとは、労働者の精神的な不調を未然に防ぐための検査です。「自分のストレス状態がどのようなものなのか」についての57問の質問票に労働者が記入するかたちで進めます。常時50名以上の労働者を使用する事業場に実施義務があり、職場環境改善のきっかけにもなります。

ストレスチェックを実施すると、一定の基準を元に高ストレス者が出ます。もし、高ストレス者が出た場合には、どういった対応をすれば良いのでしょうか?今日は高ストレス者の対応についてご説明していきます。

高ストレス者はどれくらいいる?

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ストレスを感じている人はたくさんいますが、その中でも高いレベルでストレスを感じている人はいったいどれほど存在しているのでしょう。

ストレスチェックを実施すると、全受検者のうち約1割が高ストレス者になると言われています。実際に受検してみると、業種や企業の形態などによって大きく異なりますが、厚生労働省により組織全体の10%が高ストレス者になるように設計されています。

高ストレス者に対する会社の対応は?

高ストレス者と判定された方に対して、人事総務担当はどう対応すればいいのでしょうか?

まず、「高ストレス者」というのは、ストレスチェックの実施者(産業医や保健師など)が、「ストレスが高いので医師の面接指導を受けた方が良い」と判断した従業員のことを指します。ただ、面接指導の促しを高ストレス者が受け入れるかどうかは本人に一任されています。高ストレス者だからといって、医師の面接指導を絶対に受けなければならないという訳ではないのです。

実際、高ストレス者のうち、医師の面接指導を受けるのは約1割程度と言われています。

なぜ医師の面接指導を受けない?

高ストレス者が医師の面接指導を受ける場合、ひとつのデメリットがあります。本来は、本人のための措置なのでデメリットという言い方はおかしいのかもしれませんが、実際に高ストレス者にとってデメリットと感じることがあります。

それは、「高ストレス者が医師の面接指導を希望する」と「ストレスチェック結果の会社への開示に同意した」ことになるのです。高ストレス者の多くが、人間関係や業務量など職場の環境に苦しんでいます。会社がその原因となるものを是正するには、本人のストレスチェックの結果・内容を知るのが、一番の近道になります。

しかし、高ストレスの当事者は、「上司のサポート」や「同僚のサポート」にストレスを感じている旨の回答をしていた場合、上司批判や職場批判をしたように取られないかとても不安になります。また、高ストレス者=メンタル不調者と判断されて昇進や異動に悪い影響は出ないか、と考えてしまいます。こういった理由から高ストレス者であっても、ストレスチェック後に医師の面接指導を受ける人はほんの一握りとなっているのです。

高ストレス者が医師の面接指導を希望した場合

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産業医など医師の面接指導を実施します。産業医の訪問スケジュールにもよりますが、遅滞なく(概ね1ヶ月以内)実施する必要があります。

産業医は会社のことは把握していますが、高ストレス者の状況は分からないので、直前の勤務時間や職場環境を記載した「就業状況確認書類」を作成しましょう。就業状況確認書類は上司が記入するのが原則ですが、高ストレスの要因が上司の場合は、人事総務担当が記入します。

高ストレス者が医師の面接指導を希望しなかった場合

医師の面接指導は強制できませんが、実施事務従事者が面接指導を受けるよう勧める必要があります。ただ、何度も勧めるというのも高ストレス者の負担になるので、会社(ストレスチェック実施前の衛生委員会)で「手段はメールのみで2回まで。本人が高ストレスであることを知ってから2週間後と4週間後」などと取り決めをしておくといいでしょう。

また、面接指導を受けるメリットを十分にお伝えする必要があります。面接指導で就業状況や職場環境について伝えると、普段の状況が見えてきます。業務の量や内容は適切か、上司や同僚とのコミュニケーションはどうなのかなど、本人が自覚しづらいストレス要因が明らかになります。ストレス要因が明らかになれば、業務量の軽減や異動などストレスを減らす措置が取れます。

それでも面接指導を拒否する場合

それでも、面接指導をしない場合は、医師面談に関しては断念するしかないでしょう。しかし、企業がストレスチェックを委託しているEAP業者の中には、保健師や臨床心理士が医師面談を拒否した従業員へのメールフォローを行ってくれるところも多いと思います。会社から何度もメールを送るより、専門家に依頼するのもひとつではないでしょうか。

医師の面接指導後の対応

会社は、面接指導後1ヶ月以内に、実施した医師からの意見聴取を行わないといけません。医師からは「就業上の措置の必要性」と「措置内容」の意見を聴取し、就業措置の検討・実施に向け、準備します。

高ストレス者の状況によっては、早急な措置が必要になります。

高ストレス者対応まとめ

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高ストレス者はその後にうつ病となるリスクもあり、早急な対処が必要です。そのため、ストレスチェックの結果判定後は出来るだけ速やかな対応が必要です。

しかし、医師の面接指導は強制できないため、必要に応じてストレスチェック委託業者(EAP業者)など専門家に頼りましょう。高ストレス者のうち、医師の面接指導を受けるのはたった1割です。残りの9割も含め、メンタル不調にならないように中長期的にサポートする必要があります。

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