EAP メンタルヘルス

休職者の復職支援、社内のメンタルヘルス対策に必須のEAPとは?

EAP EAP メンタルヘルス

EAPという言葉をご存じでしょうか?正直、世の中的にはそれほど広がっている言葉ではありません。

ただ、この記事をご覧になっている企業の人事総務担当者の方や衛生管理者の方はご存じの方も多いかもしれません。では、まず、基本的な言葉の説明から始めます。

EAPって何?

EAPとは、Employee Assistance Programの略で、企業の業績や社会全体の生産力の維持向上を目指し、社員のメンタルヘルスを良好に保ち、組織改善を支援する業者のことです。簡単に言うと、企業のメンタルヘルスを支える業者です。

元々は、アメリカで始まったものですが、日本でも1980年代後半から少しずつ浸透してきました。アメリカでの成り立ちは、第二次大戦やベトナム戦争、その後の不況などが関係しているのですが、日本のEAPとの関連があるわけではありませんので、この記事では省略します。

EAPのできること

産業医 メンタルヘルス

それでは、EAPという業者が「どういうことができるのか?企業にとってどんな役に立つのか?」について説明していきます。

ストレスチェック(システム提供と実施サポート)

2015年12月より常時使用する労働者が50名以上の事業場は、年に1回のストレスチェックが義務つけられました。ストレスチェックは、『労働者が自身のストレスの程度を把握すること』『ストレスチェックの結果を受けて、職場改善につなげ、働きやすい職場作りを進めること』が大きな目的となります。

職場性ストレス簡易調査票(57項目)の利用が推奨されていますが、簡易版(23項目)も提供されており、自社ですることも不可能ではありません(厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」参照)。

しかし、個人情報の取り扱い、高ストレス者の医師面談、職場改善に繋げるための「集団分析」など専門的な知識・ノウハウがないとできないことも多く、実際はEAP企業に依頼するケースがほとんどだと思います。50名未満の事業場については現状は努力義務となっていますが、中規模以上の企業の場合、50名以上と50名未満の事業場が混在している場合がほとんどであり、50名未満の事業場でも全社的に実施されることが多くなっています。

産業医派遣

常時使用する労働者が50名以上の事業場に対し、月に1回訪問します(条件付きで2ヶ月に1回でも可)。医師であれば誰でも良い訳ではなく、厚生労働大臣が指定した研修を受けた産業医資格を持った医師が訪問します。

カウンセラー派遣

臨床心理士・公認心理師、産業カウンセラーが事業所を訪問し、こころの悩みに対し、従業員の相談を受けます。

セミナー

セルフケア・ラインケア、ストレスチェックについて、ハラスメント、コミュニケーションなど企業の要望に応じてセミナーを行います。最近では、オンラインでのセミナーも頻繁に開催されています。対面でのセミナーの場合、ゲームやグループワークが取り入れられることが多く、40名までなど人数の上限がある場合があります。

健康診断チェック

健康診断結果のチェックは、本来産業医の仕事ですが、非常勤の産業医の場合、月に1時間など短時間の訪問では、何百人もの従業員の結果をチェックをするのは不可能です。そのため、EAP企業の保健師・看護師などが”異常所見のある方”をピックアップします。作業時間に応じて別途費用が発生することがあります。

従業員相談ダイヤル

契約企業の従業員がこころと身体の相談をすることのできる電話相談、メール相談の窓口です。24時間365日でサポートしている場合と、平日の9:00〜18:00までなど時間制限がある場合があります。匿名性があり、従業員にとっては相談するハードルが低いのがメリットです。

しかし、相談員はクライアントの仕事の状況や人間関係などの大切な情報を本人の立場からしか聞けません。そのため、実際に問題解決に繋げたり、的確な回答をすることは難しく、どうしても悩みの傾聴になりがちです。また、プライバシーの観点から、本人の同意がなければ、企業側へのフィードバックはされません。

企業側とすれば、メンタル不調リスクの高い従業員のことを早めに把握したいと考えるでしょうが、それもできません。現在はEAPの主業務ですが、今後そのあり方を検討されるべきサービスだと思います。

復職支援(リワークプログラム)

メンタル不調で休職した従業員の復職には、大きな問題が2つあります。1つ目は『心身が働ける状態になっているか』。2つ目は『復職後、再休職しないようになっているのか』です。特に、2つ目は、個人で対策することは難しく、専門のリワークプログラムを受けることで、再休職のリスクを下げることができます。

リワークプログラムには実施主体によりいくつかの種類があります。EAPのリワークは、再休職予防の側面に加えて、現時点で本当にその職場で働けるかを判定する『復職診断』の意味合いが強いプログラムが多いようです。

人事総務担当者へのコンサルテーション

従業員の体調不良やメンタル不調の相談は、人事総務担当者に集積されますが、様々な事案の対応に頭を悩ませる担当者は多いと思います。特に、メンタル不調への対応は、初動を中心に「間違えられない」対応が多くなります。そのため、症状を悪化させたり、トラブルにならないような対応、進め方をアドバイスします。

衛生委員会の進め方、産業医の登録方法、ストレスチェックを進めていく中で出てきた些細な疑問など、健康管理と衛生管理については何でも相談できます。

医療スタッフ(保健師、臨床心理士・公認心理士)による各種面談

医療スタッフによる長時間労働者、メンタル不調者、休職者などに対して行われる面談です。産業医に対しては話せない悩みや本音などが吐露されることも多く、従業員の健康管理にとってとても意味のある面談です。

管理職面談というかたちで、部下のメンタル不調や不調リスク者の吸い上げ、対応困難な部下に対する対応のコンサルテーションを行う場合もあります。全社的に不調者のスクリーニングや会社に対する従業員の意見聴取のために、全員面談が実施されることもあります。

医療機関連携

不調者が出た際に、ネットワークを駆使し、受診先を速やかに紹介するサービスです。医療法人主導型のEAPの場合、通常2〜3週間掛かる心療内科初診までの待機期間を短縮することも可能です。

健康経営優良法人の取得支援

「ブラック企業」という言葉が世の中に浸透し、就活生は当たり前のように、企業の「ホワイト度合い」を調べています。国(経済産業省)が認めたホワイト企業である証明(大企業版=ホワイト500、中小企業版=健康経営優良法人)を取得していることは大きな意味があると思います。

特に、就活生が集まりにくい業種であれば尚更ですし、同業他社との差別化を図ることができます。

EAPは企業のメンタルヘルス支援プログラム

EAP メンタルヘルス

以上、企業のメンタルヘルス支援プログラムであるEAPについて、EAPの専門会社のスタッフが詳細をまとめさせていただきました。EAPがどういうもので、どういったことができるかがお分かり頂けたでしょうか?次回は、EAPの種類について説明したいと思います。

社員のメンタルヘルス問題は、素人ではなかなか対応ができず、解決方法もわからないのがほとんどです。できる限り専門家の知見を頼り、改善することを株式会社当社ではお勧めしています。

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