適応障害-メンタルヘルスの病気紹介

適応障害とは、実際に現場でよく見られる疾患の一つと言われています。意欲低下や不眠、気分の落ち込みが出現している状態のことを言います。今日はこの適応障害についてご紹介したいと思います。

適応障害とは?

適応障害は、仕事や生活の中で生じるストレスにうまく対処できず、気分の落ち込みや不安感などの精神面、または行動面に変化が現れ、日常生活に支障を来たす病気です。

原因となるストレスが生じてから1~3ヶ月以内に発症し、ストレスがなくなると6ヶ月以内に症状が改善すると言われています。

適応障害の原因は?

適応障害の原因は、外因的な要素(ストレスなど)と内因的な要素(ストレスに対する対処力や本来の性格など)の2つに分けることができ、それらが組み合わさり発症します。

●外因的な要素

職場や学校、家庭での環境の変化や人間関係の悪化が原因となることが多いと言われています。

例)
〔職場〕部署異動、上司の交代、上司の態度の変化、昇進 etc.
〔学校〕クラス替え、友人の転校、部活動の体制変化 etc.
〔家庭〕引越し、夫の単身赴任、PTA活動 etc.

親しい人との別れ、自身の健康問題が原因となることもあります。他の人にとってそれほど重要でないことでも、その人にとって大切なことであれば、どんなことでも不適応は起こります。

●内因的な要素

社会生活を送る上でストレスを完全になくすことは困難で、誰にでもストレスはあります。少しのストレスで適応障害になる人もいれば、大きなストレスがあっても何も変化なく社会生活を送る人もいます。

これは、元々の性格やストレスに対する耐性の違いなどが影響すると考えられています。

適応障害の症状は?

適応障害の症状は、情緒面の症状と行動面の症状の2つに分けることができます。

●情緒面の症状

気分の落ち込み、不安感、感情の高ぶり、集中力の低下 etc.
→これらの症状によって動悸や不眠、めまいなど身体面の症状が現れることもあります。

●行動面の症状

情緒の不安定さ(すぐに怒るなど感情的行動をとる、普段とは違う言動)、遅刻や無断欠勤、過度な飲食行動 etc.

適応障害の治療は?

適応障害の治療(対策)で最も大切なのは、原因となるストレスを取り除く(軽減させる)ことです。そのために最も効果的なのは環境調整です。環境調整の方法は、ストレスの原因によって異なりますが、職場でいうと、業務量の軽減、業務ラインの変更などが現実的かと思います。

学校で言うと、一時的な保健室登校でしょうか。それでも、症状が軽減しない場合は、休職や一定の期間学校を休むことを勧めることになります。これらの決定は、会社や学校だけでなく、心療内科の主治医、会社の産業医の意見を聞いた上で対応します。

環境調整は外因的な要素に対する効果的な治療(対策)となりますが、内因的要素に対しての対策とはなりません。そのため、本人に対しては認知行動療法や対人関係療法などでストレス対処能力を高めることが重要となります。

気分の落ち込み、不眠、不安感などの症状が顕著であれば補助的に薬物療法を併用し、本人と環境の間にある問題を少しずつ整え、ストレスと上手く付き合い、受け入れる手助けをする治療となります。薬物療法で用いられるのは、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などうつ病の治療に使われる薬と変わりがありません。

しかし、適応障害における薬物療法はあくまで補助的なもので、環境調整や認知行動療法などの心理療法に比べて効果のエビデンスが乏しいと言われています。

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