リワークとは、うつ病などこころの病気で休職になった従業員を対象とした職場復帰支援プログラムです。
リワークは一般的に以下の目的で利用されます。
・決まった時間に施設に通うことで生活リズムの確立や、会社に通うことを想定した訓練となる。
・心理教育などのプログラムで再発予防、再休職予防を目指す。
今回は障害者職業センター(職セン)が実施している公的なリワークについてご紹介します。
職センのリワーク(障害者職業センター)
職センのリワークは、各都道府県に最低1つある障害者職業センターが実施主体となっており、公的なリワークとも呼ばれています。障害者職業センターは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置した障害者の職業リハビリテーションの拠点となる施設です。
『障害者』という言葉は、復職を目指す休職中の方には抵抗のある表現だと思います。しかし、歴史のあるリワークで、リワークといえば職センのリワークを思い浮かべる企業の人事総務担当者の方も多いと思います。
実施プログラム
※実施の都道府県によってプログラムは変わりますので、ご確認下さい。
(1)コーディネート支援(週2~3日10:00~15:30)
・個別相談
・アセスメント
・ストレッチ、リラクゼーション
・アサーション講習
・ストレスマネジメント講習
・うつ病などからのリハビリ講習
(2)リワーク支援(週3~4日10:00~15:30)
・個別相談
・ジョブリハーサル
・コミュニケーショントレーニング
・キャリア
・ストレスコーピング
リワーク実施期間
3ヵ月(標準的な利用期間)
※復職期限に応じて設定することも可能です。
※実施の都道府県によっては3.5ヵ月~4ヵ月のところもあるようです。
リワーク実施費用
無料(雇用保険から支払われます)
利用するまでの流れや手続き
(1)隔週開催される説明会に参加(事前予約が必要です)
(2)説明会参加
(3)参加を希望する場合は申し込み
(4)主治医・企業・本人で面談を行い、プランを作成
(5)事前プログラム(1ケ月程度の体験コース)に参加
(6)プログラムに正式参加
※説明会の予約~正式利用までは、約6~8週間かかります。
職センリワークのメリット
・費用は無料(交通費や昼食代は自己負担となります)
※雇用保険から支払われます。
・コーディネーターが本人・雇用主・主治医の3者とすり合わせ、プランを作成し、トレーニングを実施。
※リハビリ出勤時に取り組む課題や労働環境の調整など、配慮事項について相談できます。
※職場側は、適宜、相談・調整ができるので安心です。
・フォローアッププログラムもあり(必要に応じて実施されます)
・統合失調症の方も参加できる(症状の程度により、主治医がリワークの利用を許可しない場合は利用ができません)。
職センリワークのデメリット
・医師などの医療スタッフは少なく、症状を改善させるための治療ではない(臨床心理士、産業カウンセラーがいるセンターもあります)。
・施設数が少なく通いにくい場合がある(都道府県に原則1つ。参加費は無料だが、遠方だと交通費でかなりの出費となる場合があります。)。
※利用先に関しては居住地に対する制限はありません。例えば、兵庫県にお住まいでも大阪府の障害者職業センターを選択するなど、利便性にあった場所を選ぶことができます。
・同じ職場から同時に複数名の利用はできない(先に利用している方がプログラムを終了するまで待機することとなります)。
・1人につき利用は1回のみ(2回目の休職では利用できません)。
・公務員の方は利用できない。
以上が障害者職業センター(職セン)が実施しているリワークの特徴の説明となります。メリットやデメリットなど理解頂けたでしょうか?次回は、4つのリワーク のうちの、復職診断(EAP)のリワークをご紹介します。