風邪で2~3日お休みするくらいならいいのですが、従業員が1週間とか続けて会社を休む場合、やはり会社としては診断書を提出して欲しいものです。しかし、診断書の提出は強制することができるのでしょうか?「お金が掛かるから」などと断られないでしょうか?今回は、診断書とは何なのかについてからご説明していきます。
診断書とはどんなもの?
診断書とは、診察した医師が作成する公的な書類のことです。主に患者の症状などについての所見を記載する書類ですが、診療科や病院によって書式は様々です。心療内科の場合は、病状の証明だけでなく、休職するために必要な書類となります。
診断書の提出は義務なの?
先に述べたように従業員が続けて休む時、会社としては診断書を提出して欲しいものです。ただ、それを従業員に強制することができるのでしょうか?
「義務」という話になると必ず出てくるのが労働基準法ですが、診断書に関してどういった記載があるのでしょうか?実は、労働基準法には診断書の提出に関する規定がありません。更に言うと休職に関する規定もありません。なので、法的には長期に休んでも従業員は診断書を提出する必要がありません。
では、会社側は従業員が長期に休む場合、本人の病状をどう把握し、管理すれば良いのでしょうか?
就業規則に記載する必要あり
労働基準法に規定がないため、会社の就業規則に明記し、効力を持たせなければなりません。例えば、「病気などの理由で止むを得ず連続して4日以上出勤できない場合は、医師の診断書を提出しなければならない。」などの具体的な文言です。
あと、休職についても就業規則に書かれていなければ、従業員はいつまで休んでいいのか、はたまた休んではいけないのかが分かりません。「勤続1年未満…3ヵ月、勤続1年以上…12ヵ月」などとはっきりと明記する必要があります。
診断書の料金は誰が負担する?
診断書は就業規則に提出が義務付けられている場合、従業員に提出義務があります。「義務」ということは、会社がその料金を支払ってくれるのでしょうか?診断書の料金は病院の裁量に任されているため、料金はまちまちですが、3,000円~5,000円と決して安くはありません。
診断書の提出は、就業規則に定められている場合は義務となりますが、私傷病による休職はあくまで「個人都合」なので、個人負担となることが一般的です。ただし、従業員が提出した診断書の内容に疑問があり、会社指定の医師を受診し診断書が発行される場合は、通常会社負担となります。
診断書の提出を拒否された!
診断書の提出を就業規則で義務付けているにも関わらず、従業員が拒否した場合どうなるのでしょうか?実際にこういったケースは存在します。例えば、本当は病院に行っていない場合、納得のいく診断書が書いてもらえなかったため口頭でウソを伝えて原本を出せなくなった場合など信じられないケースが存在します。
ですが、就業規則で診断書の提出を義務付けている場合は、安心です。従業員に診断書の提出を強制することができますし、拒否した場合には、届出なしの欠勤を続けていることを理由に解雇することも可能です。実際に、長期間休職していたにも関わらず、診断書の提出を拒否した従業員について、解雇を認められた判例もあります。
休職の診断書提出とは?まとめ
診断書の提出は労働基準法に規定がありません。休職についても同様です。しかし、就業規則に診断書の提出を明記していれば困ることはありません。ただし、「病気などの理由で止むを得ず連続して4日以上出勤できない場合は、医師の診断書を提出しなければならない。」など提出の要件について具体的に規定することが大切です。
また、従業員が断書の提出を拒んだ場合の対処についても明記していれば、万全だと思います。