産業医とは、事業場において労働者の健康管理などについて、専門的な立場から指導・助言を行う医師のことです。労働安全衛生法により、常時50名以上の労働者を使用する事業場には産業医の選任が義務付けられています。逆に言うと、国のルールに沿うと50名未満の事業場では産業医を選任する必要がありません。
産業医契約は小さい事業所でも必要
しかし、全国各地に多くの事業場・店舗を持つ会社の総務担当者の方であれば、「都市部の大きな事業場(50名以上)だけでなく、地方の小さい事業場(50名未満)もフォローして欲しい」「小さい事業場だからといって何のフォローもしないというのは不公平で会社として良くない」と考えたことがあるのではないでしょうか。
50名未満の事業場が産業医を選任する場合、大きな問題となるのがコストではないかと思います。そういった事業場を対象に、国から助成金が出ることをご存じでしょうか。長期的な助成金ではないのですが、導入時にぜひご利用頂きたいと思います。
※年度初め(5月頃)にその年度の助成金の有無が決定されます。独立行政法人労働者健康安全機構のホームページでご確認下さい。
産業医契約の助成金の概要
独立行政法人労働者健康安全機構のホームページには、以下の記載があります。
少し堅い表現で書かれてありますが、名義貸しのような産業医契約でなく、実態のある活動をしてもらう必要があります。
産業医契約の助成金額
助成金の金額ですが、1事業場当たり100,000円を上限(6ヵ月毎)とし、将来に渡り2回限り助成されます。産業医契約で掛かった費用のうち6ヵ月で100,000円助成され、それは2回までしか利用できません。
※産業医導入の年に200,000円まで助成されるイメージです。導入年に1回しか助成金を受けなかった場合は、翌年度以降にも権利が残ることになります。
産業医契約助成金を受けるための要件
産業医契約の助成金を受けるための要件は下記の通りです。
②労働保険の適用事業場であること。
③平成29年度以降、産業医の要件を備えた医師と職場巡視、健診異常所見者に関する意見聴取、保健指導等、産業医活動の全部又は一部を実施する契約を新たに締結していること。
④産業医が産業医活動の全部又は一部を実施していること。
⑤産業医活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。
小規模事業場であっても、平成28年度以前に締結されている契約に助成金は出ません。また、外部から産業医を招聘し、実態のある活動をしてもらう必要があります。
産業医契約実施期間※令和2年度の場合
令和元年11月~令和3年3月
※ 継続する6ヵ月の産業医(産業保健)活動実施期間(助成金の支給対象となる6ヵ月間)の初月が令和元年11月以降、最終月が令和3年3月以前である必要があります。令和元年11月~令和3年3月までの17ヵ月の間に助成金の対象となる産業医活動期間が含まれていなければなりません。
産業医契約助成金申請期間※令和2年度の場合
・1回目の申請は、継続する6ヵ月の産業医活動期間 の最終月の翌月~6ヵ月以内に申請して下さい。
・2回目の申請は、1回目の申請対象となった産業医活動期間の最終月の6ヵ月経過後~6ヵ月以内に申請して下さい。
申請例
1回目【産業医活動期間】R1.11~R2.4→【申請期間】R2.5~R2.10
2回目【産業医活動期間】R2.5~R3.3の間の6ヵ月→【申請期間】R2.10~R3.3
6ヵ月の活動が終了後支払った領収書などを添付し、申請するイメージです。
※申請期間中でも助成金支給申請の受付を終了することがありますのでご注意ください。
助成金申請提出先
独立行政法人労働者健康安全機構
リンクを貼っておきますので、ホームページより助成金情報をご確認くださいませ。
産業医契約助成金まとめ
産業医契約の助成金についてご理解頂けたでしょうか。企業は義務化されていない部分に関するコストは出にくいのではないかと思います。しかし、産業医は労働者の健康や職場環境のために欠かせない存在です。50名未満でも助成金を利用し、積極的に産業医を導入しましょう。一度利用すれば産業医の大きな役割について気付いて頂けると思います。
産業医とは?まとめ
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