所見→上記疾患のため、3ヵ月程度の休業が必要と考えられる。
こんな内容の診断書が、従業員から送付されてきました。こんな場合、会社はどういう対応をすれば良いのでしょうか?今回は、従業員が休職した際の、主治医との連携についてお話したいと思います。分かりやすいように、総務担当者を中心とする事例を交えながら進めていきます。
まずは従業員に状況を確認する
状況を聞くために本人に連絡を取ると、「先月異動した部署の上司と合わない。言い方もきついし、仕事も上手くいかないし、しんどくなってしまって…」とのこと。確かに、上司からも仕事が上手くいっていないとの報告は受けている。
こういった事例は、決して珍しいことではないと思います。主治医が3ヵ月の休職と言っている以上、そこは尊重しなければなりません。しかし、会社としてできることはないのでしょうか?
主治医に会社側から見た客観的な情報を伝えたい。
会社が主治医と連携したい場合、最も良いのは診察同行ではないかと思います。主治医と本人の診察の場に同席し、会社側からの考えを伝える方法です。しかし、同席には本人の同意が必要です。また、本人から会社に対する陰性感情(怒り、不信感などを含んだ否定的な感情のこと)を見聞きしている場合、主治医が警戒して同席を拒む場合もあります。
主治医も薄々本人側の問題を感じている思うのですが、主治医はあくまで本人側に立っているので、本人が望まないかたちを強引に推し進めることはしません。診察同行について、「会社として少し厳しいことを伝えるが、回りまわって本人のためになる」ことを説明し納得してもらえればベストなのですが、上手くいかないことも多いと思います。しかし、診察同行については強引に進めるものではありません。不信感にも繋がりますし、その後のやり取りが困難になってしまいます。
主治医から休職社員の状況を詳しく聞きたい。
この場合、『産業医による診療情報提供依頼』が良いと思います。一度断られた診察同行を再度お願いしても、OKは出ないのではないのでしょうか。産業医による診療情報提供依頼というのは、会社が選任した産業医の先生から主治医宛に情報提供をお願いする文書のことです。
これについても、依頼する際にはまず本人の同意が必要になります。ただ、診察同行に比べると、「産業医の先生が復帰後の配慮とかを考える上で、主治医の情報が必要だから…」という具合に説明しやすいのではないでしょうか。
原則、医師間の文書の依頼については、断られることなく返書されます。ただ、注意して欲しいのは、主治医と産業医のやり取りなので、文書は産業医宛に送られてきます。なので、開封するのは産業医で、その内容を企業に開示するかどうかも産業医の判断によります。
産業医に相談しながら進めるべき
主治医と連携することは、会社本人双方にとって大切です。休養や職場復帰に関する重要な話を聞くことができますし、伝えることもできます。ただ、今回お話したように繊細なやり取りの元に成り立っています。決して無理をせず、産業医に相談しながら進めるようにして下さい。