従業員が休職した時、対応は誰がする?
予想しなかった突然の休職、だましだまし出勤を続けた上での休職など、休職の経緯には様々なケースがあります。また、会社に対し大きな不満を持っているケース、逆に会社に対し申し訳なさを感じているケースなど休職者の思いも様々です。
しかし、どんなケースであっても休職者は主治医が作成した「休職診断書」を提出しなければなりません。本人から提出がない場合、会社は提出を要求する必要があります。それでも診断書の提出がなければ、会社は「安全配慮義務」を果たすため主治医に情報の聞き取りを行ったり、その結果を産業医と相談し、必要に応じて休職命令を出したりしなくてはなりません。
ひとまずの提出先は上司の場合も多いと思いますが、その正式な受取や管理は総務担当者が行います。
休職対応は上司と総務担当者
ここまでの状況の中で「上司」「総務担当者」が出てきましたが、休職者の対応は基本的にこの2者が協力して行うことになります。よほどの小規模事業所でなければ、恐らく多くの会社がこのスタイルをとっているのではないでしょうか。
そのうち、メインで対応するのは、総務担当者である方が望ましいでしょう。上司は休職者のことを最もよく知っていると思いますが、反面メールや電話のやり取りで仕事のことを思い出させてしまい、休職者が休養のために必要な会社との「心理的な距離」が取りにくくなる可能性があります。
また、休職要因が上司であることはとても多く、第三者的な立場である総務担当者がイニシアチブを取るのが望ましいと考えます。会社にとっても休職者の対応を総務担当者が一手に担うことには大きな意味があります。休職者の対応は、神経を使いややもすると休職者の生命にも関わる事態にもなりかねません。
そのため、会社内の休職者対応の経験が全て総務部に蓄積され、ノウハウとして積み上げられる必要があるのです。
休職者が安心して療養するために
また、総務担当者は、休職中の金銭的な仕組み(会社独自の手当があるのか?傷病手当金の仕組みや申請方法、休職期間が退職金にどう影響するかなど)、産業医面談など復職に向けてどういう段階を踏む必要があるのか?より良い復職のためにどういった社内・社外サービスがあるのか?など休職者が安心して療養するための情報提供を行う必要があります。
休職者とのやり取りは最小限に
ただ、こういった情報提供やその後のやり取りは頻回に行われるべきではありません。休職者が職場復帰するために、何より大切なのは休養です。頻繁なやり取りは休職者が会社との心理的な距離を取ることを阻害します。
いつまでも会社のことが気に掛かり、こころからの休息が取れなくなるのです。
休職者とのやり取りの方法
また、やり取りの方法についても本人の心理的負担を減らす工夫が必要です。電話よりもメール。電話だと出れなかった時に「何の電話だったのかな?」と気になりますし、掛け直しには大きなエネルギーが必要です。また、今後も突然電話が掛かってくるかもしれないと思うと緊張が消えません。
メールも受診後のタイミングで本人から送ってもらうようにするなど、本人が体調に合わせて自分のタイミングで応対できるように配慮しましょう。休職についての情報提供など出来る限りのことは郵便で行うのも良いでしょう。
休職者との対応は総務担当者なら誰でもいい?
休職者の対応は、総務担当者が望ましいことをお伝えしてきましたが、どんな肩書きの人でもいいのでしょうか?休職者の年齢や役職によってベストな対応者はその時々で変わると思いますが、一般的には上すぎても下すぎても良くありません。
入社わずかの担当者には荷が重すぎますし、逆に部長職なども好ましくありません。休職者の対応は退職、パワハラなど会社の意向を確認しつつ進めなければならないことがあります。そのため、部長級の方は『会社の意向を伝えるべき人物』であるべきで、体調確認など支持的に関わるのは、課長・課長代理・係長など、責任もあり、従業員側の立ち位置にも寄り添える中間層の方が望ましいと思います。
企業担当者の休職者対応まとめ
休職者の対応について、その入口【誰がどういった心構え・方法で対応するか】についてご説明しました。その先の細かな対応については、今後記事を作成していきますが、休職者の対応はひとつとして同じ案件はなく、個別性の塊です。産業医や社労士に相談しつつ丁寧に進めていきましょう。