休職診断書

突然の従業員から「休職診断書」提出。総務担当は休職を予防できる?

  • 2021年5月5日
  • 休職
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突然従業員から休職の診断書が提出された。こんな時に総務、人事担当の方はどのような対応をすれば良いのでしょう?今回はメンタルヘルスのプロの目線からご説明してみただいと思います。

突然の従業員からの休職診断書

休職診断書

メンタルヘルスの不調などで従業員が会社に行けなくなった場合、休職という選択肢が取られることがあります。上司や総務担当者が休職者の状況を事前に把握している場合であれば、業務の軽減や引継ぎなども事前に行われており、社内に大きな混乱は起こらないでしょう。

しかし、思ってもみなかった突然の休職の場合、現場は大きな混乱をきたします。休職者の業務を誰かが引き継がなくてはいけないのですが、みな基本的に自分の業務で手一杯です。また、会社は休職者を速やかに休職させようとするため、引継ぎのための十分な時間は取れません。

総務担当者は管理責任も問われる

休職診断書

現場の混乱と時期を同じくして上司や総務担当者は、別の点で混乱します。経営層からも「なぜだ?予兆はなかったのか?」などと責められるかもしれません。だからでしょうか、上司や総務担当者から、「メンタル不調のサインってどんなものがあるのですか?」とよく聞かれます。

そういった場合、一般的な不調のサインはお教えしますが、それは人によって異なりますし、気付いたとしても対応の方程式というものはありません。なので、【何かあった時に話をしてもらえるような関係作りをしておくこと】【変化に気付けるようにマメに関わること】をお願いします。

すると、上司や総務担当者は分かりやすい方程式がないことや私の伝えた内容が当たり前すぎるからか少し落胆した表情をされます。しかし、誰にでも当てはまる不調のサインも対応の方程式もありません。日々の丁寧な関わりを続けていくことで分かってくる「人となり」や少しずつ積み上がる「信頼感」以上に頼れるものは存在しません。

事前に想定された休職の場合でも…

休職診断書

先に述べたように、上司や総務担当者が休職者の体調不良を事前に把握していれば、社内に大きな混乱は起こらないでしょう。しかし、上司や総務担当者は「自分の関わり方に問題はなかったのだろうか?本人の負担になっていなかっただろうか?」と考えてしまいます。

丁寧に関わっている上司や総務担当者の方々であればこそ、そういった悩みを抱えます。

休職は防ぐことができる?

結局、突然の休職でも事前に想定できた休職でも、休職が防げない限り現場や上司、総務担当者の混乱はゼロにはなりません。「今回の休職は防ぐことはできなかったのでしょうか?」との質問を受けることもあります。

そういった質問をされる方ほど、責任感が強くて丁寧に関わっていた上司の方である印象です。なので、私は「休職を防ぐことはできません。ただ、良いかたちの休職に導くことはできると思います」とお伝えします(※誤解のないようにお伝えしますが、休職される方が最も苦しんでいることは大前提として、それ以外の現場や上司、総務担当者の苦しみの部分に焦点を当てています)。

休職を予防することはできない理由

安全配慮義務

休職を完全に防ぐことができないのは、【症状が重くてどんなアプローチや配慮をしても短期間では回復しない場合がある】からです。正直主治医であってもご本人の症状をコントロールすることは簡単ではありません。

軽いうちに気付くことができれば、症状が重くならないように配慮できた可能性があると考えるかもしれません。ただ、お金をもらい働いている以上初期の段階で業務軽減など配慮をしてもらうことは簡単ではないと思います。

また、本人が皆に迷惑を掛けないように頑張っている段階で業務を取り上げるようなこともできません。早い段階での心療内科受診は症状悪化を食い止める大きなきっかけとなりますが、こころの不調に対しては、まじめな方ほど「気持ちが弱かった」「情けない」など自身を責め、何とか受診せずに持ちこたえようとします。

なので、早いうちに治療したり、会社として配慮したりして、休職しないように進めることはとても難しいのです。

良いかたちの休職なんてあるの?

良いかたちの休職というと言葉に語弊がありますが

①本人が主体的に治療を受け、会社としても業務軽減などの配慮を行った。
②「早く元気になって復職するため」と本人が休職の必要性を理解している。
③業務軽減の過程で引継ぎが粗方できており、同僚の負担も最小限となっている。(本人に復帰のしやすさのために重要)

などができている場合、良いかたちの休職と言えるのではないかと思います。

実際は、本人も会社もすべきことを行った上で避けられない休職で、かつ同僚への負担も最小限に抑えられているケースはほとんどないと思います。むしろ、休職者がそもそものメンタル不調の原因が会社にあると感じていたり、同僚も今以上に増える業務負担に納得のいかない感情を持ってしまうなど、残念ですが”良くない休職”がほとんどのように思います。

休職は防ぐことができる?まとめ

リワーク

休職を防ぐことはできません。しかし、会社がメンタル不調者のことをしっかり考え、丁寧に接することで、良いかたちの休職に近付けることができます。良いかたちの休職は良いかたちの復職にも繋がり、ひいては会社の利益にも繋がります。

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