産業保健総合支援センターは、厚生労働省の管轄する「独立行政法人 労働者健康安全機構」が運営する公的機関です。各都道府県に1つあり、事業場の産業保健スタッフ(産業医、保健師・看護師、臨床心理士・公認心理師、衛生管理者、事業主、人事労務担当者など)を対象に産業保健に関する研修や相談などを無料で行っています。
産業保健総合支援センターの役割
産業保健総合支援センターの下には、地域産業保健センターが地区ごとにあり、労働者数50人未満の事業場に対する産業保健サービスを無料で行っています。産業保健総合支援センターの事業は大きく以下の6つとなります。
研修会の実施
メンタルヘルス、健康管理、職場の環境改善、産業保健スタッフのスキルアップなどに有効な研修会を行っています。
相談業務
産業医、保健師、産業カウンセラー、労働衛生コンサルタントなどが、産業保健に関するさまざまな問題の解決方法をアドバイスします。
メンタルヘルス対策
メンタルヘルス担当者が事業場を訪問し、職場のメンタルヘルス対策のサポートをします。
≪個別訪問≫
メンタルヘルス担当者が事業場を訪問し、職場のメンタルヘルス対策の導入に関する取組みをサポートします。
1. メンタルヘルス教育の実施
メンタルへルス担当者が講師として事業場を訪問し、管理監督者向け(管理監督者の役割、ストレスチェック制度について、部下への接し方についてなど)、若手従業員向け(メンタルヘルスに関する基礎知識、ストレスとの付き合い方、コミュニケーションについてなど)のメンタルへルス教育を実施します。
2. 「心の健康づくり計画」に関する支援
メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って継続的かつ計画的に実施することが大切です。社内の体制整備やメンタルヘルスケアの実施などについて検討し、計画を立てます。「心の健康づくり計画」の策定を希望する事業場を訪問し、計画作成のための助言などのサポートを行います。
3. ストレスチェックの導入に関する支援
ストレスチェックの導入に関するサポートを希望する事業場を訪問し、実施方法や注意点、集団分析後の職場環境改善などについて助言・情報提供などのサポートを行います。
4. 職場復帰支援プログラムの作成に関する支援
うつ病、適応障害などメンタルヘルスの不調で休職している労働者がスムーズに職場復帰するためには、職場復帰支援プログラムや関連規程により、休職から職場復帰までの流れを事前に明確にしておくことが必要です。職場復帰支援プログラムの作成を希望する事業場を訪問し、助言などのサポートを行います。
≪窓口相談≫
産業保健センターの相談員(産業医、保健師、臨床心理士、社会保険労務士、産業カウンセラーなど)が、面談、メール・電話・FAXで対応します。事業主・人事労務担当者・産業保健従事者など職場のメンタルヘルス全般に関する相談を受け付けています。治療を受けながら安心して働き続けることができる職場づくりをサポートします。
1.相談
電話やメールなどで、事業場の関係者や産業保健スタッフ、従業員やその家族からの相談に対応します。
2.研修・セミナー
事業場の人事担当者や産業保健スタッフなどを対象に、「事業場における治療と仕事の両立支援のための ガイドライン」の解説や、具体的な進め方について、研修、セミナーを開催します。
3.個別訪問支援
担当者が事業場を訪問し、治療と仕事の両立支援について、具体的な助言やセミナーなどを実施します。
4.個別調整
従業員や事業場からの申し込みを受けて、従業員の就労継続や職場復帰について、職場との橋渡しとなるよう調整支援をします。
地域産業保健センター
産業保健総合支援センターの下部組織で地域ごとに設置されています。労働者数50人未満の小規模事業場を対象に「健康診断結果についての医師からの意見聴取」「長時間労働者及び高ストレス者に対する面接指導」などの労働安全衛生法で定められた産業保健サービスを無料で提供しています。
1.健康診断の結果についての医師からの意見聴取
健康診断の結果、異常所見のある従業員に対し、健康を保持するために必要な就業上の措置について、医師から意見を聴取します。
2.長時間労働者に対する面接指導
時間外や休日労働が長時間となっている従業員に対し、疲労の蓄積状況の確認など、医師による面接指導を実施し、就業上の措置について意見を聴取できます。
3.高ストレス者に対する面接指導
ストレスチェックの結果、高ストレス者となり且つ医師面談を希望した従業員に対し、医師による面接指導を実施し、就業上の措置について意見を聴取できます。
4.労働者の健康管理にかかる相談
・脳血管疾患、心疾患のリスクが高い労働者に対する保健指導
・メンタルヘルス不調のある従業員に対する相談・指導
5.保健師による保健指導
保健師が事業場に訪問し、従業員の健診結果に対し個別に相談・指導を行います。
6.個別訪問による産業保健指導の実施
医師、保健師または労働衛生工学専門員が事業場に赴き、職場巡視や作業環境管理など労働衛生管理にかかる助言・指導を行います。
情報提供
産業保健についての情報提供を行います。 パンフレットや産業保健21の案内、調査研究の報告、メールマガジンの配信、図書貸出など
産業保健総合支援センターと地域産業保健センターの役割まとめ
産業保健総合支援センターと地域産業保健センターの役割と業務についてご理解頂けたでしょうか?50名未満の事業場の場合、産業医や産業保健スタッフがいないことも多く、従業員の健康管理について迷われる場面が多いと思います。
地域産業保健センターはそういった時にとても心強い存在となります。積極的に利用し、従業員の健康管理に役立てましょう!