「メンタルヘルスと筋トレ」、「メンタルヘルスと運動」に関連があることは、様々な研究で明らかになっています。では、「メンタルヘルスと体型」は関連があるのでしょうか?直接的に関連があるというエビデンスは現在のところ多くありません。しかし、体型を保つためには筋トレや運動、食事、生活習慣など様々なことに気を配る必要があります。
なので、体型を保つ≒健康を保つと言うことができます。また、こころの健康は身体の健康なしには形作られないので、メンタルヘルスと体型には間接的な関連があると言って差し支えないと思います。今回は、最も避けたい体型の崩れ「お腹がポッコリ出る」ことについて、アルコールとの関連を交えお話していきます。
ビール腹とメンタルヘルス
「ビール腹」という言葉があります。肥満とメンタルヘルスの関係性はまだわかりませんが、ビール腹は、お腹が出た方に対し、お腹が出た原因がビールであると推測する言葉です。
「ビールは糖質が多いから太る」と言われていますし「ビール腹」という言葉は、世の中の定説と言っても良いのではないかと思います。また、女性は脂肪がお尻や足につきやすいため、お腹に脂肪がつきやすい男性がその言葉の対象となることが多いように思います。
エンプティカロリーって何?
ただ、一方で「アルコールはエンプティカロリーだから、太らない」という定説もあります。エンプティとは、「空っぽ」であることを指します。結局、ビールを飲むとビール腹になるのでしょうか?それとも、エンプティカロリーだから太らないのでしょうか?
まず、エンプティカロリーという言葉から解決したいと思います。エンプティカロリーというのは、決してカロリーゼロということではありません。アルコールは1gあたり7kcalのカロリーがあります。糖質とタンパク質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalなので、脂質とあまり変わらないくらいのカロリーがあるのです。
それでは、なぜ、「エンプティ」なのか。それは、身体の役に立つ栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど)がほとんど含まれておらず、身体に蓄えられないからエンプティなのです。カロリーはゼロではありませんが、肝臓はアルコールを速やかに代謝しカロリーは消費されてしまいます。だから、中性脂肪として蓄積されにくいのです。
アルコールは本当は太らない?
身体に蓄えられないのなら、やっぱりアルコールは太らないのか?答えはNOです。 正確に言うと、ビールやワイン、日本酒など糖質が入っているお酒はそれだけで太ります。しかし、糖質が含まれていないお酒(焼酎、ウィスキーなど)だけであればほとんど太りません。
ただ、お酒を飲む際に、何も食べないなんてことはないと思います。同時に食事やおつまみを食べると思います。なので、お酒だけをガブガブ飲むアルコール中毒のような人を除けば、(食事やおつまみを食べることも含めた)飲酒行動は間違いなく太るのです。
しかも、食事やおつまみのカロリー分に関して「普通に太る」という訳ではありません。そこには、代謝の順序が深く関係しています。
アルコールの代謝
アルコールは分解されると、アセトアルデヒドといわれる物質になります。アセトアルデヒドは有害であるため、肝臓はアルコールの代謝を最優先に行います。そのため、アルコールと同時に摂った食事のカロリーや体内に蓄積されている脂肪がエネルギー源として使われるのは後回しになってしまいます。
食事で摂った糖質やタンパク質は吸収されると肝臓に運ばれますが、肝臓のアルコールの代謝が終わるまで、肝臓で代謝されません。ですが、肝臓にずっと留まることはできないので、身体は「糖質やタンパク質は必要ではなく余っている」と判断し、体脂肪へと変えられてしまうのです。
脂肪に関しては、身体に入るとまず心臓に向かいます。そこから、血液に乗って全身を巡り、身体を動かすエネルギーとなります(脂肪の分解)。しかし、アルコールを摂取すると脂肪の分解がストップし、脂肪の合成(脂肪を蓄えること)を促進します。
しかも、「肝臓がアルコールの代謝を最優先し、糖質やタンパク質が体脂肪に変えられてしまうこと」、「脂肪の合成が促進され、体脂肪になりやすい状態にあること」は、体内にアルコールがある限り持続します。
アルコールはやっぱり太る
アルコールの代謝能力は個人差が大きいですが、ビール500㎖1本を成人男性が代謝するのに3~4時間掛かります。ビール350㎖、ワイン250㎖、ハイボール350㎖飲むと10~11時間も代謝に掛かります。ということは、その間ずっと糖質とタンパク質が体脂肪に変えられ、脂肪が蓄積されやすくなっています。考えただけでも恐ろしいですね…。
にも関わらず、アルコールと一緒に食べる揚げ物やはとても美味しい!また、アルコールを飲むと食欲が出る出る!アルコールと一緒にカロリーの高いものを食べて、最後にはラーメンでしめて…こういった食事行動が肥満の正体なのです。決して、そのお腹の出っ張りは、「ビール腹」でも「ワイン腹」でもありません。「揚げ物腹」「ラーメン腹」なのです。
糖質、脂質の少ない食事
ということは、アルコールを飲む時の、食事やおつまみを工夫すれば、お腹が出るリスクをかなり下げることができるのです。
では、どんなものが良いのか?タンパク質が豊富な魚や肉、豆、食物繊維などです。献立でいうと、お刺身、焼魚、干物、焼き鳥(塩)、冷や奴、枝豆、ナッツ、海藻サラダなどでしょうか。ちょっと物足りない献立かもしれませんが、お腹ポッコリにならないためには我慢です。
ビール腹とメンタルヘルスまとめ
アルコールだけでは、そこまで太ることはありません。しかし、同時に食べる食事で摂取したカロリー(糖質、タンパク質、脂質)が極端に体脂肪になりやすくなっています。アルコールの代謝が終わるまで、その状態が続くので、①アルコール摂取量をほどほどに②アルコールと一緒に摂る食事の内容に注意することが大切です。
以上、メンタルヘルスと切っても切れない関係である体の健康をテーマにしたお話でした。心の健康を保つためにも食事のバランス調整やトレーニングはできれば意識的に行う様にしてくださいね。