自立支援医療制度

自立支援医療(精神通院医療)制度とは?申請方法やメリットをまとめました

自立支援医療は、全ての精神疾患を対象に、継続的な通院治療を必要とする方が利用できる制度です。通院治療のみが対象で入院治療は対象となりません。医療機関での診察やデイケア、薬局、訪問看護で利用でき、通常3割負担の医療費が1割負担となります。

※自立支援医療は
①精神通院医療(精神疾患の治療)
②更生医療(身体的な障害の治療)
③育成医療(身体的な障害がある子どもの治療)
上記の3種類ですが、この記事では、精神通院医療について説明していきます。

どんな人が利用しているの?対象疾患は?

自立支援医療制度

先に自立支援医療は「全ての精神疾患」「継続的な通院治療を必要とする方」が利用できると書きました。「全ての精神疾患」とあるように適応範囲は幅広く、うつ病、統合失調症などだけでなく、アルコール依存症や、薬物依存症も対象となります。

「適応障害は自立支援医療の対象外」とおっしゃる医師もいますが、私は却下された事例は聞いたことがありません。

継続的な通院治療

次に、「継続的な通院治療」という言葉ですが、とても曖昧な表現だと思います。勧める医師側も勧められる患者さん側もその言葉をどう受け取れば良いのでしょうか?心療内科には、メンタル不調を抱えながら頑張って働いている方がたくさん来院されます。

そんな方に自立支援医療を勧めた場合、「私はずっと(継続的に)通院しないといけないのかな…」などと思わぬショックを与えてしまう場合があります。なので、心療内科の先生も【半年以上とかある程度の期間通院している】【金銭的な負担を訴えている】【リワークデイケアなど費用が高額のサービスを利用しようとしている】などの事情がないと積極的にはお勧めしないことが多いようです。

まれに「病院代が安くなる制度だったら、主治医の先生にもっと早く教えてもらいたかった」と言われる方がいますが、実はこういった事情があるのです。

支払上限額(自己負担額)とは?

自立支援医療では、前年度の世帯の所得に合わせて、支払上限額(自己負担額)が決定され、その金額を超える部分に関しては免除されます。0円、2,500円、5,000円、10,000円、20,000円とありますが、働いている方であれば、10,000円か5,000円の方がほとんどかなと思います。

支払上限額と世帯の所得には相関関係があり、前年度の市民税が33,000円以上235,000円未満の場合は10,000円、235,000円以上の場合は20,000円となります。

実際の支払いはどうなる?

自立支援医療制度

自立支援医療を受けることになれば、これまでの支払いがどのように変わるのか、例を出して説明します。

≪例≫週に1回心療内科に通院し、薬局で薬をもらっていた。自立支援の支払上限額は5,000円。
心療内科では1回2,100円ほど、薬局では1回に1,800円ほど支払っている。

(これまで)
心療内科では、2,100円×4=8,400円
薬局では、1,800円×4=7,200円 
と合計15,600円支払っていた。

(自立支援医療適用後)
心療内科では、700円×4=2,800円
薬局では、600円×4=2,400円 合計5,200円

支払上限額が5,000円なので、最後に訪れた4週目の薬局の費用は200円免除されることになる。

実際に利用しないとイメージしにくいかもしれませんが、理解して頂けたでしょうか。例のように日々の支払いが3割負担から1割負担になるのはとても大きいメリットではないかと思います。ただ、支払上限額に関しては、①毎週通院している②高価な薬を飲んでいる③リワークデイケアなどに頻繁に通所している、などでなければ大きなメリットは感じられないかもしれません。

自立支援医療のメリット

自立支援医療のメリットととしては、医療費の負担が軽減されること、それに尽きると思います。また、人によっては離職後の就労移行支援施設の利用時の証明として使えることもメリットになる場合もあります。

自立支援医療のデメリット

デメリットについては、申請時に多くの方が悩まれることだと思います。しかし、医療費の負担軽減を超えるような大きなデメリットはありません。よく「生命保険とか住宅ローンが組めなくなるのでは?」と心配される方がいますが、自立支援医療を申請することでそれらに影響が出ることはありません。

ただ、生命保険も住宅ローンも持病の記入欄があり、通院していること自体を明らかにする必要があります。結果、ローンの利率などに影響を与えることはあるようです。また、就職や会社への影響を心配される方もいますが、自立支援医療を利用していることは、本人以外の誰にも知られることはありません。

なので、そのことで不利になることはないので安心して下さい。小さなデメリットとすれば、利用する心療内科と薬局(2ヵ所)が限定されてしまうことでしょうか。ただ、手続きを取れば、変更は可能です。自立支援医療は医師の診断書を提出する必要があり、また2年に1度更新が必要となります。

診断書料金は心療内科によりますが、意外と高価で5,000円~10,000円するところもあります。

以下、手続きについて簡単にまとめました。

申請手続き

(1)申請は住民票のある市区町村の担当窓口で行ってください(市区町村によって、担当する課の名称は異なりますが、保健福祉課、障害福祉課が担当する場合が多いようです)。

(2)申請に必要なものは概ね以下の通りですが、自治体により異なる場合がありますので、詳しくは市区町村の担当課や、お住まいの地域にある精神保健福祉センターにお問い合わせください。

≪申請に必要な書類≫

自立支援医療制度

1.申請書(自立支援医療支給認定申請書)
※市区町村の窓口で入手できます(申請当日に入手し記入するかたちとなります)。
2.医師の診断書→主治医に記入してもらいます。
※大阪市や大阪府の書式は診療所に置いてあることが多いですが、兵庫県、京都府の場合、診断書の用紙を窓口に取りに行く必要がある場合があります。
3.健康保険証(写しでも可)
※世帯全員の名前が記載されている保険証
4.マイナンバーの確認書類

◆番号確認書類(次のいずれか1つ)
(1)個人番号カード(2)通知カード(3)個人番号が記載された住民票(写しでも可)、もしくは住民票記載事項証明書

◆身元確認書類(次のいずれか1つ)
(1)個人番号カード(2)運転免許書、運転経歴証明書、旅券(パスポート)、住民基本台帳カード、特別永住者証明書、在留カード等(3)身体障害者手帳もしくは精神障害者福祉手帳

自立支援医療について、ご理解頂けたでしょうか。制度やその運用は毎年変更されますし、市区町村によっても異なります。詳細に関しては、お住まいの市区町村にお問い合わせ頂けますと幸いです。

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